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電波による機器障害(心臓ペースメーカーへの影響)!

まず、このネタは毎日の通勤電車の中で車掌さんがアナウンスしてる”携帯電話の電源をお切りください。医療機器への影響が有るので・・・。”という言葉に対し実のところマジどうか?という疑問に対して調査してみた。今回は、医療機器の中でもよく言われている 心臓のペースメーカーを例にとって書いてみる。


1.電波って?

さて、ちなみに電波とは電磁波の一種である。電磁波の定義としては、”電界と磁界が起こす波”とでも言っておこう。しかし、実際に見えない現象なので絵に描くこともできない。 なにやら、電子と陽子、はては磁気が関係してるように俺は考えている。だから、出力(パワー)が 大きければ殺人兵器が作れそうである。電磁波は、使いようによっては恐ろしい現象である。


2.心臓ペースメーカーって?

では、心臓ペースメーカーとは?
心臓自体の刺激発生、伝達経路の経路障害などで脈が少なくなったり、脈がとんだりする患者に対して、微弱な電気信号により刺激を与えることによ り正常な脈拍に戻すための生命維持装置である。
つまり、脈が有ると言うことは体内に血液が循環している証拠なので、血液の循環を止めないように監視しているのがこの装置である。


3.携帯の雑音による障害

図1 携帯電話による心臓ペースメーカーに与える影響

図1は、携帯電話が心臓のペースメーカーに与えるメカニズムを表したものである。ペースメーカーは、ケーブル(正式にはリードと言うらしい)を通して心臓の脈が発生しているかを常時監視している。脈が何らかの障害で止まったときに、心臓にトリガー(刺激)を与えて脈を発生させている。このような役目がある。これに対して、携帯電話が心臓ペースメーカーに接近することにより、電磁波の影響で心臓ペースメーカーのケーブルに雑音が入る。ケーブルに雑音が入ると、ペースメーカーは脈が打っているものだと誤判断する。すると、ペースメーカはトリガー信号を出さないので、脈が止まったままとなる。これにより、体内の血液の循環が止まり、生命維持が危うくなる。
このことで、勘違いしてる方も多いと思うが心臓ペースメーカー自体が障害を受けるわけでなく、ケーブルに携帯電話からの電磁波雑音が乗るのである。


4.雑音が生じるのは一部の携帯電話

さて、では心臓ペースメーカーのケーブルに雑音を発生させるのは携帯電話全般なのだろうか?
結論的には、それは違うようである。 以下の3つの要素が重要なファクターのようである。

■ 携帯電話の周波数帯

■ 携帯電話の空中線電力(出力)

■ 携帯電話とペースメーカーとの距離


5.携帯電話の周波数帯での雑音

携帯電話の周波数帯は現在以下のようになっている。

■ 800MHz帯(NTTドコモ、CDMA2000)

■ 1.5GHz帯(J-フォン、tuka、au等)

■ 2GHz帯(CDMA2000)

実験的に見ると、800MHz帯がペースメーカーに圧倒的に影響が有るらしい。1.5GHz帯及び2GHz帯は両者さほどの影響は無いようである。
さらに、800MHz帯は200Hz間隔に高周波ノイズを発生させると言われている。


6.携帯電話の空中線電力(出力)

携帯電話の周波数帯別空中線電力は、

■ 800MHz帯 → 800mW

■ 1.5GHz帯 → 800mW

■ 2GHz帯 → 200mW、10mW

やはり、ペースメーカへ影響の大きい800MHz帯は空中線電力が大きいせいもある。特定の周波数帯と空中線電力の大きさが大きな要因になっている。


6.携帯電話とペースメーカーとの距離

あと、原因となるファクターとして大きいのは、ペースメーカーと携帯電話との距離である。実験的には、距離が15cm以上の間隔ならば安全のようである。その筋の規定では、22cm以上離れてるのがベストとしている。


7.結局のところ

一番の要因は、ペースメーカと携帯電話の距離にあるようだ!つまり、NTTドコモ800MHz帯の携帯電話で朝のラッシュ時でも、左右両隣もしくは前後に接触して立ちはだかってる人以外の携帯電話からは影響がないと言うことになる。
つまり、限られた組み合わせのみペースメーカーへの電磁波雑音障害が起こりうる。と言う結論が言えそうである。
その他としては、無線LANの2.4GHz帯にも影響は有りそうである。元々、2.4GHz帯は医療機器の無線周波数帯ISMバンドで有るため、当然と言えば当然である。しかし、無線LANの空中線電力はたかだか20mW程度と小さいため、影響は少ないと見ている。

以上

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